【ほぼ全文】丸山隆平が芸能記者役に挑む会話劇『ハザカイキ』フォトコールレポート

2024年3月31日(日)に東京・THEATER MILANO-Zaで『ハザカイキ』が初日を迎えた。直前にフォトコールと囲み会見が行われ、主演の丸山隆平(SUPER EIGHT)の他、勝地涼、恒松祐里、三浦大輔(作・演出)が登壇した。

本作は、鋭い感性とリアルを追求した演出で、賛否渦巻く衝撃作が代名詞ともいえる三浦大輔の3年ぶりの新作舞台。芸能界を舞台に、マスコミとタレントという特殊な関係の中、現代に振り回されながら葛藤し続ける人間たちの揺らぎを、三浦独自の視点で浮き彫りにする会話劇だ。

主演を務めるのは、『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』(2022年)でミュージカル初挑戦ながら性別を超えたドラッグクイーンを好演し、『パラダイス』(2022年)では詐欺グループのリーダーという役どころで俳優としての新たな一面を披露した丸山隆平。丸山は、三浦の舞台を以前から観て「いつか挑戦してみたい」と願っていたと語っており、今回念願叶っての初タッグとなる。

共演は、勝地涼、恒松祐里、風間杜夫、と実力派の俳優たちが揃う。さらに、ピン芸人として活動する九条ジョー、三浦作品には欠かせない米村亮太朗、AKB48の2代目総監督を務め21年の卒業後は俳優として活動する横山由依、元宝塚歌劇団トップスターで退団後も多彩な存在感を放つ大空ゆうひ、そして『ヘドウィグ~』で丸山と共演したさとうほなみら様々なジャンルで活躍する俳優陣が三浦の描く世界を体現する。

フォトコールでは、芸能記者の菅原(丸山)と親友の今井(勝地)が飲み屋でタバコをふかしながら飲んでいるシーンから公開された。舞台手前のセットと、舞台奥上の歩道橋を使って物語が展開される。

これまで肉体的な動きを重視していた三浦の作風からは一歩抜け出て、対話が緻密に積み上げられていく会話劇。セットが転換するたびに、そこに登場する人物それぞれの生活がクローズアップされるように描かれる。

登場人物たちの何気ないような対話からそれぞれの違いやズレが浮き彫りになっていくさまは、常に緊張感があり目を離せない。丸山自身の柔和なイメージからは想像できない、芸能記者・菅原の粗野な仕草が印象的だった。

フォトコール後の会見には、丸山、勝地、恒松、三浦が登壇し、初日を迎えての意気込みや稽古時のエピソードを語った。
(以下コメントほぼ全文)

写真左から 三浦大輔、勝地涼、丸山隆平、恒松祐里

――ご自身の役どころと、初日を迎えた意気込みをお願いします。

丸山 私は週刊誌の記者で芸能記者でもあるんですけれども、色んなスキャンダルを撮って社会的なものとかも追いかける記者ではあるんですけれど、一つの記事から始まって、舞台上で起こる出来事に色々向き合いながら、周りからの影響で変化していくという役です。今朝、SUPER EIGHTの安田章大さんから、ガンバ!みたいなのをLINEでいただきました。彼も舞台がこれからなので、そういう仲間のことも支えながら、最後まで本当に無事安全に走りきれたらなと思っております。

勝地 僕は丸山くん演じる菅原の親友の役で、僕は菅原がやってるマスコミの仕事をちゃんと理解はしていないんですけど、分かってるふりをしてるというか、そばにいたいから、分かるよ分かるよっていうことを言いながらずっとそばにいます。ネタバレがあるんで、あとは言えないんですけども(笑)。自分自身が抱えてるものがあったりするっていうところが、最後分かったりもするんですけど。僕は初めてこの三浦さんが書いた本を読んだ時に、「これだよ!マジこれだよ!スッキリした!」って思ったんですよ。それをお届けできればなって思います。

恒松 私は国民的タレント橋本香という役を演じているんですけれども、今回はこの舞台上で菅原から追われている側の役です。スクープをされてしまう中で、どんどん香の人生が変わっていって、自分自身と向き合うきっかけにもなって、少しずつ自分の中で整理をしていって・・・最後、すごく大きな見せ場がある役どころです。お楽しみに!

――三浦さんは構想から7年かかったそうですが、作るきっかけは何だったんでしょうか。

三浦 それが、結構ネタバレになってしまうものなので。ただ、とあるシーンを舞台上でやりたくてこの構想は始まって、今回もちろんそのシーンはありますし、そこから7年経ってここまで時代とフィットするとは、僕も予想外なんです。なので本当にこの時期に観るべき作品だったな、と強く思って。

――丸山さんに演じてもらおうというのは、どれくらい前から考えていましたか?

三浦 1年くらい前なんですかね、ちょっとそこら辺はあやふやなんですが。作品を観てもらえばわかると思うんですけれども、丸山くん自身の素というか、普段のテレビとかで見ている丸山くんの地をそのまま使って演じてほしいなっていう思いをすごく強く持っていて。丸山くん自身は週刊誌記者ではないですけれども、ちょっと自分の仕事とリンクする部分もそれで重ね合わせて演じてくれてるなと思っています。

――丸山さんは芸能記者の役を実際に演じられていかがですか?

丸山 こっち(取材される側)の方がしっくりきますね(笑)。でも、いざこういう役の立場になって、勉強になるのかな。(記者のほうを眺めながら)何書かれてんのかなぁ(笑)。新鮮でもありますし、こういう思いで記者の方って色んな情報を集めたりしてるんだなっていうのは考えたことなかったので、すごく観察のしがいのある職業だなと想いました。

――役作りで参考にされたことは?

丸山 映像をいくつか見させていただいたりとか。YouTubeでそういう記者の方のコメントを拝見させてもらって、そういう信念だったりとか志をもってされてるんだなっていうのは参考にというか、一つ念頭において。

――実際に芸能記者はどんなイメージですか?

丸山 なんかもうすごい張り込んでるイメージ。人によってスタイルは違うと思うんですけど、とにかく途方もない時間をスキャンダルを撮るためであったりとか、でもそれだけじゃないじゃないですか。やっぱり社会的なことも取り上げたりもされてますから、そういうのって時間も能力も精神的なものに削られるんだろうな、っていうイメージに変わりましたね。すごく怖い人らなのかなってイメージだったんですけど、記者の方もきっと自分の生活があって家庭があったりとか、そういう背景を今回の作品でちょっと考えさせられたりはしました。

――勝地さんはいかがですか?

勝地 僕も色々ありましたから。

(一同笑い)

色んなことを書かれたこともありますし、 憶測の記事があったりとか、そういう苦しむ時間もありましたけども。でも、やっぱりこういう時に宣伝していただいたりとか、マスコミの方たちとは持ちつ持たれつなんじゃないかなと思ってます。僕、昔撮られた時に、あるつけ麺屋さんからめちゃくちゃカッコつけて出てくる写真を撮られて。その記者の人も他の人を追ってたんだけど空振りに終わって、飯でも食おうかって行ったら勝地がのんきにつけ麺屋さんに来て食べてたっていう記事になったらしいんですけど。それ、誰が読んで面白いんですかね?

(一同笑い)

でも、有名にこうなったっていうことでもあるのかなと思ったりしたんで、撮られるイコール嬉しいことでもあったりもするっていう、なんか複雑ですよね。

丸山 そうそう、注目されてなかったら撮られないしなっていう。撮られなくなっても終わりやろうし、でも撮られたら終わりでもあるし(笑)。

――撮られるのと、一切撮られないのはどちらがいいですか?

勝地 俺は撮られたいです!この先も。

丸山 言っちゃった!(笑)

――どこに行けば撮りやすいですか?

勝地 場所ですか?! でもやっぱり六本木とか西麻布とか居たら、僕が記者だったらって考える時あるんですよ。あそこに張ったらいいのにとか、あのマンションの前張ってたら絶対撮れるけどなとか。(マンションの場所は)言いませんけど!

――恒松さんは芸能記者にどんなイメージがありますか?

恒松 私はあんまりまだ撮られたりとかしたことがないので・・・でも、ずっと外で寒い思いをしながら張り込んでる人たちっていうイメージ。あんパンとか食べながら。

勝地 それ刑事!

恒松 刑事か(笑)。なんかそういうイメージです、まだ分からないんですけど。

丸山 分かんなくていいですよ。

恒松 でも今回の作品ではこうやってマイクを向けられるシーンがあって、今、作品の舞台上にいるみたいな気持ちになってます。リアルなのか舞台なのかがちょっと分からなくなってます(笑)。こんなにカメラ向けられると。

――マスコミにひとこと、言いたいことはありますか?

丸山 皆さんそれ専門で飯食われてるわけですからね。その記事の質にもよるとは思うんですけど、報道すべきことはするべきだと思うし、忖度だったりとかも言われてますけど、信念を、志を持ってされているんであれば、それはすごく素晴らしい職業だとは思うんで。記事によりますけど(笑)。良い人生を歩むためにみんな一生懸命そうやってるんだろうなとは思うし、それは自分の生活としてやっていただければと思います。あんまり触れたくはないですけど(笑)、でも僕らもお世話になってますから。いつも感謝をしています。

――稽古場の雰囲気はいかがでしたか?

丸山 結構みんな笑ってるよね? 楽屋とか行き来したりしてます。

――差し入れはされましたか?

丸山 肉巻きおにぎり。(本番が)始まってからお弁当を2回ぐらいは考えております。

――ちなみにどんなお弁当ですか?

丸山 結構エネルギーがつきそうな、労働者に効くお弁当。(恒松「おっ!」とニコニコ)段取りがみんなそれぞれ多かったりとか、タイミングとか緻密に、 出演してるみんな以外にも裏で動いてくださってる美術の方とかも汗たらしながらされてるんで。そういう方にも効くような差し入れにしております。

――丸山さんと勝地さんはこれまでに共演経験は?

勝地 無いです。(SUPER EIGHTの)バラエティはご一緒しました。

丸山 劇を作って持ってきてくださって、その無茶振りを僕たちメンバーが色々と絡んでどんどん翻弄していくっていう。

――今回親友役ですが、実際にお二人も親友になれましたか?

勝地 なってないです、1〜2ヶ月ではならないです(笑)。でもこれからどんどん、なっていけたらなと。

丸山 演劇で言ったら大先輩なので、色々と現場でアドバイスいただいたりとか、この稽古期間中に「お前ちゃんとせえよ」っていうのはちゃんと言っていただきました。

勝地 ほら、変な切り取り方するから!

(一同笑い)

丸山 いや、それは劇を良くするために、この段階ではそういうのダメなんじゃないっていうのを言っていただいて。なかなかそうやって言ってくれる人っていなくて、もう僕も今年41なんですけど、すごくそれは嬉しかったし助かってます。本当に頼りになるありがたい先輩です。

勝地 いや、(丸山のほうが芸能界では)先輩は先輩なんです!(笑)

丸山 このシーンってどう見えた?とかっていうのを聞いたりすると、すごく的確にアドバイスをいただいて。 もちろん三浦さんが演出の元なんですけど、ふっと見た時にどう見えるかっていうのを本当につぶさにアドバイスくださるので、めちゃくちゃ助かってます。

――グループ名が変わって2ヶ月ですが、その心境はいかがですか。

丸山 色んな段階を経てのことだったりもしたので。グループ名を変えるっていうのは自分たちで決断したことだったし、グループは今年が周年でもあるので、良い“ハザカイキ”になったんじゃないかなと思います。ファンの方々も一般の方々も、なんかちょっとクスッとしながらも応援してくださってるようなムードをこの2ヶ月の間で感じているので。

――新しいグループ名は慣れましたか?

丸山 今でも言っちゃいますね。周りのスタッフさんとか共演者の方とかも、やっぱり前の名前が出てきたりとかもしちゃうんで、それはちょっとしばらくご迷惑をかけるんだろうなっていうのは体感としてあります。

――メンバーは観劇に来られますか?

丸山 いや、予定無いですね。ヤスくん(安田章大)も舞台だしね。村上(信五)くんもMCで引っ張りだこだし、横山(裕)くんは横山くんで今(ドラマ)撮ってますし。大倉(忠義)はプロデュース業で忙しいし、分かんないですね。個々の活動が充実してるのは良いので、あんまり無理して来ずに、休むときは休んでほしいです。

――安田さん以外のメンバーから連絡は来ましたか?

丸山 たぶん今頃来てんじゃないですかね(笑)。

――ちなみに、デビューが決まった後輩のAぇ! groupさんは交流はありますか?

丸山 朝の番組の時すれ違ったりとかで一緒に写真撮ったり、ジュニア時代にご飯行ったりとかありましたけど。彼らも今すごく多方面で活躍してるので、なかなか行く機会が無くて。むしろ遊んでくれなくなったっていう感じですかね(笑)。良いことだと思います。

――丸山さんから、楽しみにしているファンの方に向けてコメントをお願いします。

丸山 この『ハザカイキ』は今のこの時代にフィットした作品になっています。すごく色んな見方ができて、題材は社会的なものっていう風に思われる方も多いかもしれないですけども、1つの週刊誌の記事によってい色んな人たちがそれぞれの生活の中で何かが変化していったり、何かを受け入れたりとか許したりとか許されたりとか、そういうことを思い起こせるような作品になっていると思います。じっくりと味わって帰っていただければなと思います。よろしくお願いします。

舞台『ハザカイキ』は4月22日(月)まで東京・THEATER MILANO-Za、4月27日(土)から5月6日(月・休)までは大阪・森ノ宮ピロティホールで上演。上演時間は第1幕55分、休憩20分、第2幕1時間40分を予定している。

(取材・文・撮影/Encore!編集部)


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あらすじ

芸能記者である菅原裕一(丸山隆平)が担当することになった、国民的人気タレントの橋本香(恒松祐里)と人気アーティスト・加藤勇(九条ジョー)の熱愛疑惑。リークしたのは、香の友人・野口裕子(横山由依)。
香の父・橋本浩二(風間杜夫)は人気俳優であったが、芸能事務所の社長となり、いまは香のマネージャーの田村修(米村亮太朗)とともにマネージメントをしている。香がまだ幼い頃に、不倫をスクープされ芸能界から姿を消した自身の経験を元に、香にはスキャンダルを起こさないよう諭している。マンションから出てきた香を追い、菅原が入ったスナックには浩二と離婚した香の母・智子(大空ゆうひ)がいた。
菅原には同棲している恋人・鈴木里美(さとうほなみ)と、親友・今井伸二(勝地涼)がいる。菅原は里美との生活に安らぎを得、今井と会うときには仕事の愚痴を話したり、ごく普通に過ごし、そんな生活が今後も続くと信じていたが、実は二人は菅原の仕事を快く思ってはいなかった。
ある日勇がとある不祥事で芸能界を追放され、事態が急変する。勇との熱愛をスクープされた香にも芸能人としての存続の危機が訪れ、菅原も芸能記者として最悪の事態に陥る……。

公演情報

ハザカイキ

作・演出:三浦大輔

出演:丸山隆平
勝地涼 恒松祐里 さとうほなみ 九条ジョー 米村亮太朗 横山由依 大空ゆうひ 風間杜夫
日高ボブ美 松澤匠 青山美郷 川綱治加来

企画・製作:Bunkamura

【東京公演】
日程:2024年3月31日(日)〜4月22日(月)
会場:THEATER MILANO-Za
主催:Bunkamura

【大阪公演】
日程:2024年4月27日(土)~5月6日(月・休)
会場:森ノ宮ピロティホール 
主催:サンライズプロモーション大阪

公式サイト:https://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/24_hazakaiki.html

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